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「気づき」とは?―脳がひらめくコミュニケーションスキル

2023/04/12

「気づき」とは?―脳がひらめくコミュニケーションスキル

ビジネスの世界では、よく、「気づきが大切」と言います。
気づきは「あっ!そうか!」という感覚です。

今まで当たり前だと思っていたことに変化をもたらすことができますし、
これをビジネスに活かせば、
新商品や新サービスなどを作り出すきっかけになります。


また、気づきは、さまざまな思い込みや制限を手放すきっかけにもなります。
今まで八方塞だった問題の解決や個人の成長にもつながります。

それはまるで、今までモヤがかかっていたところに
光が差し込んできたかのような、急に視界が開けたような感覚です。


ところで、そもそも「気づき」とは
一体どのような状態のことを指すのでしょうか?
どのようにしたら「気づき」を起こすことができるのでしょうか?


 

「気づき」とは?

「気づき」とは、誰かから教えられたり、
指示されたりすることなしに、自分の内面から生じる感覚的な
「発見」や「ひらめき」、「解釈や理解の変化」のことです。


それは「AがBとなって、Cとなる」のように、
論理的に考えて答えを導くというよりも、
「ハッとする」「あっ!と思う」のように、
突然起こるような感覚である場合が多いです。


たとえば、外出時に財布や携帯電話を忘れたときに起こる
「あっ!○○忘れた!」という、あの感覚のように。

言い方を変えれば、「気づき」とは、
それまで意識上になかったものが、
何かの拍子に意識上に現れた状態とも言えるでしょう。


 

2つの「気づき」

「気づき」には、大きく分けると2つの種類があります。

突発的な気づき

1つ目は、何の前触れもなく突発的に起こる気づきです。
忘れた財布や携帯電話をふと思い出したようなシーンがそうです。

きっかけによって起こる気づき


2つ目は、何かしらきっかけによって起こる気づきです。
誰かが携帯電話を手にしているのを目にしたり、
着信音を耳にしたり、知人から「携帯電話はどうしたの?」のように
問いかけられたりするようなシーンがそうです。
 

「気づき」を起こすためには?

「突発的な気づきは」何の前触れもなく突発的に起こるので、
何かしらの意識によってコントロールをすることは難しいのかもしれません。
一方、「きっかけによって起こる気づき」は、
何かしらのきっかけを意識的に作ることによって、気づきを起こすことができます。

気づきを意識的に起こすきっかけをいくつか上げてみました。

観察する

物事を細かく観察すると、何かしらの「変化」を見つけることができます。
「変化」は気づきのきっかけになります。
たとえば、小学校の自由研究でアリや草花の成長を観察したすると、

「あれ?今までは○○だったのに変わったぞ!」と気づくように。

また、ルビンの壷がそうであるように、
観察によって、静的なものの中からも気づきを起こすことができます。


 
「観察する」については引用サイト、
コミュニケーションの基本「観察力」の鍛え方も参考にしてください。

問いかける

  • もし、お金も、時間も、年齢も、性別も、学歴も、すべてが自由になるとしたら、本当は何をしたいだろう?
  • もし、友達が自分と同じ問題を抱えていたら、どんなアドバイスをするだろう?
  • もし、90歳まで今の状態をずっと続けたとしたら、どんな結末を迎えるだろう

のように、普段考えないような問いかけを、自分自身、または、周りの人から問いかけられることによって、気づきを起こすきっかけを作ることができます。






「問いかける」については、質問力―情報を共有し思考力を育むコミュニケーションスキル引用サイトを参考にしてください。

異なる角度や視点で見る・聞く

ある物事を今までとは異なる角度や視点で見たり、
聞いたりすると、新しい何かを感じ、気づきが起きるきっかけになります。

たとえば、優れたコンサルタントやコーチ、カウンセラーは、
クライアントの「問題」を「機会」に変えるのが得意です。

あるコンサルタントは、「仕事 がない」と困っていたクライアントに、
「成功者が一度はたどる道のりですね」と伝えました。

また、あるコーチは、「売上が上がらず資金がショートしそう」 と
悩んでいた経営者に、
「今までも似たような経験があったと思うけど、以前はどのように乗り越えたの?」
「これは、一人で悩むのではなく、社員を巻き込ん で、
考えるチームを作る機会なんじゃない?これを乗り越えたら、
すごい力になると思うよ」と伝えました。


つまり、ネガティブな状況の中に、
ポジティブな価 値を見出して、伝えたのです。

このように、同じ物事でも、ポジティブな面に光を当てると、
「あっ!そうか、これはチャンスなんだ」という気づきが生まれます。

「異なる角度や視点で見る・聞く」については、リフレーミング―大切な人を励ます前向きな言葉の作り方の引用サイトを参考にしてください。

「気づき」を妨げるもの

逆に、次のような環境は気づきを妨げてしまうでしょう。

理詰めで考えてしまう

気づきは「AがBとなって、Cとなる」のように、
論理的に考えて答えを導くというよりも、
「ハッとする」「あっ!と思う」のように、突然起こる感覚です。

一方、何かしらの問題を抱えているときは、
発想がネガティブになり、頭が固くなりがちです。
しかめっ面をして腕を組みながら、
「う~ん、この場合はどのようにすべきなのだろう?」と
理詰めで考えても、新たな気づきは起こりません。


気づきを起こすためには、理詰めで考えることから少し離れて、
リラックスしているときに起こる「ふと浮かぶ感覚」が大切です。
 

「思い込み」が制限になっている

「○○すべき」「○○ねばならない」という思い込みは、
視点をある1点にとどめてしまいます。
異なる角度や視点で見ることができないため、気づきが起こりにくくなります。

気づきを起こすためには、突飛な意見でもOKとする頭のやわらかさが大切です。
 

「気づき」と脳科学

脳科学者の茂木健一郎氏によれば、脳科学には
「アハ!体験(a-ha! experience)」という言葉があるそうです。
アハ!体験(a-ha! experience)とは ―
「わかったぞ」という体験を表す、英語圏で広く使われている言葉であるとともに、人類の脳の不思議な能力を表すキーワードとして、最先端の脳科学で注目されています。
「ひらめき」や「創造性」とでも名づけられるような
脳の驚くべきはたらきが、アハ!体験なのです。
 
筆者は脳科学の専門家ではないので詳しいことは分かりませんが、
「アハ!体験」の感覚は分かります。
筆者の意見では、「あっ!そうか!」という
「気づき」は「アハ!体験」に近いものだと考えています。


 

「気づき」のメリット

気づきが起きたときのメリットをまとめてみました。
  • 今まで当たり前だと思っていたことに新しい発想をもたらすことができる
  • 見出せなかった答えが突然見つかり、八方塞だった問題の解決につながる
  • ネガティブな出来事の中にもポジティブな意味があることに気づき、成長できる

まとめ

「気づき」についてまとめみました。
いかがでしたか?気づきを起こすためには、
観察、問いかけ、視点を変えるなど、
さまざまなコミュニケーションスキルが役立ちます。


また、「あっ!そうか!」と発見したり、
気づいたりしたときの、あの「脳がひらめく感覚」は、
頭の中がネガティブな状態というよりも、
どちらかというと、開放感、納得感、充実感のような、
ポジティブな状態であることが多いです。


気づきを起こすためには、まずは、ポジティブでリラックスし、
安心感がありながら、集中できる環境を作ることも大切なのかもしれませんね。